HOP石出和博会長に、高級木造住宅の火事への耐性について解説いただいています。
言うまでもないことですが、家づくりにおいて、火事に対するリスクというものは、限りなく低くしなければならないものです。
万一の際、家そのものへのダメージをどう軽減するか、そして住まう方々の生命をいかに守るか。
この点を疎かにする者は、建築家と名乗る資格などありません。
私たちHOPの考える火事への備えとしては、次のことを実践しております。
まず外壁材に厚さ25mmのモルタル塗下地、その上に磁器タイル貼り、または吹き付け塗装を施すことで、国の定める基準をクリア。
また、このモルタル塗下地には、間にグラスファイバーネットを挟み込む3層構造とすることで、壁のひび割れ防止効果ももたらしています。
さらには、モルタル自体も、難燃性の高いものを使用しているのです。
木造住宅は鉄骨造に比べ、火災に弱いと思われがちです。
しかし、実は木造住宅は鉄骨造よりも、火災に強いという性質があることをご存知でしたか。
同じ強度を持つ木材と軽量鉄骨材を1000℃まで加熱するという実験において、加熱開始後5分、550℃を超えたところで軽量鉄骨材はグニャリと曲がってしまいます。
それに対し、木材は表面が焦げて炭化しますが、そのことによって内部に火が入るのを防ぎ、より長時間、変形することを食い止めてくれるのです。
つまり、一定以上の大きさや厚さを持つ木材は、軽量鉄骨材よりも火災に強いと言えます。
一般常識として、我々の頭の中には、木は燃えるもの、鉄は燃えないものという認識があります。
しかし、こと住宅の火災に関して言えば、真逆の事態をもたらすというのは、まったくもって以外な事実ですね。
住宅に限ったことではありませんが、何事も思い込みや先入観で勝手な判断をすべきでないということを、思い知らされました。
加熱温度への耐性もさることながら、木の性質も火災への強さのひとつとなっているようです。一般的に木は燃えやすいと認識されていますが、それは細い木だったり細かい木だったりするときのこと。
木造住宅で使われる木(柱や梁)は、10cm以上の太さがあります。柱に火をかけるところをイメージしてください。まず、柱の表面である木が燃えて、黒く焦げてきます。焦げた部分は炭化しているといえます。この炭化した層は、熱と酸素が届くことを阻害する性質があるのです。つまり、木造住宅で使われる木が燃えにくい理由は2つあります。(これは住宅会社の実験結果からも明らかになっています)
(1)表面が焦げた柱の内部には熱が届きにくい:素材自体の変形が起きにくい
(2)燃焼に必要な酸素が届きにくい:内部に火が届かず燃えにくい
札幌を本拠地とし、評判の高い高級注文住宅を多数手がけるハウジングオペレーションアーキテクツ(HOP)。
HOPは、天然素材・国産材を用いるこだわりや、独自の木材流通システムの確立、そして施主の評判の高い家づくりなどで、注目を集める建築事務所です。
日本のみならず、外国からもオファーが寄せられる評判の高さ。HOPの源となっている理念が、HOP石出和博会長の著書『美しい日本の邸宅』で紹介されています。